似顔絵
ダイエーに行った。母の日が近いからだろう、幼稚園児が書いた(たぶん)お母さんの似顔絵が貼ってあった。
上の写真はパネルの表裏で、こんなパネルが何枚か並んでいた。ここ何十年も身近に幼稚園児の知り合いがいなかったので子供の描く絵にあまり免疫がないせいか、それぞれの絵にとても驚かされた。ちょっとアレかもしれないが、それらの絵を掲載してみよう。
【似顔絵になっている】
後ろの赤いのは太陽だろうか。頭のギザギザは髪型か飾りか悩ましいところ。黄色い部分が足だとしたら生えている場所が斬新。
顔はいちばん上手に描けていると思う。胴体と手の生え方が惜しい。足が猛禽類のようだ。左上で天国の兎が見守ってくれている。茶色いのが熊の墓だったら怖い。
とりあえずヤンママじゃないかと思う。目が大きいのかグラサンなのかわかるように描いて欲しかった。
【何かの力】
顔になっているし、この中で唯ひとり胴体もきちんと描けているのにこの不安感は何だろう。ポーズ、表情、そして何よりも小ささが見ている者たちを不安にさせる。
対照的に大きな1枚。狙ったかのように枠をはみ出して描かれている。服の色遣いや目と口の部分にくしゅくしゅと乱雑に描かれた線にジャイアン性が。
表情と静物という大胆な構成。胴体どころか、ミッキーマウス風の顔の周りには髪の毛すらない。でも視線の先には果物らしき何かが置かれている。
【単色の世界】
早すぎた青の時代。「モヒカンさん、頭の上に気をつけて」というテーマが見えてくる。
キャラクタライズされた表情、二重あごのリアリティ、それらを打ち消す黒一色の世界。
珍しい斜め上を向いた似顔絵。テーブルに置かれたお面のようだ。もしかしたら下の赤いのがお母さんの似顔絵かもしれない。
【ようこそ巨匠】
体型の不思議さ、一見透明人間のようでいてうっすらと書かれている顔。そして何よりも印象深い2回繰り返して書かれている謎の数字24、もしかしてダリ?毎日繰り返し聞かされる「お母さんは24歳よ」という小さな嘘が悲劇の芸術家の出発点。
モンドリアンが来ましたよ。よく見ると右下に人物がいるのが惜しい。これが消えれば巨匠の仲間入りです。
何一つ意図をくみ取ることができない。強いて言えば「逃げ惑うゴキブリを踏みつぶそうとする子象の右足」だろうか。
感想:
「下手だけど似顔絵ではある」という俺の先入観の二歩半向こうに彼らはいた。たぶん、年を重ねるとまず似顔絵を描くという仕事を身につけて、液体のような彼らの描画は絵という鋳型に注ぎ込まれていくのだろう。通りすがりの野次馬でしかない俺には、それがどういう事なのかまったく解らないのだが。