16・44

今週のサンデーソングブックは毎年恒例の新春放談の一週目だった。新春放談は説明すると長くなるが、山下達郎が自分のラジオ番組に大瀧詠一を招いていろんな話をするという年に一度の対談企画だ。これがもう四半世紀以上続いている。


その新春放談で、ちょっと驚いた会話があった。

山下「サンプリングレートは?」
大瀧「僕は 16 ・ 44 で最初から最後まで」
山下「それでいいんですよ。 192 なんてのは駄目です」
大瀧「 16 ・ 44 以外は昔から駄目なんですよ」

ちょっと解説すると、16・44とは「ビットレート:16bit、サンプリングレート:44.1kHz」のことで、音をディジタルデータとして扱う際の精度を表す数値だ。44.1kHzは1秒の音を44100個にスライスすることを表し、16bitというのはスライス1個分の情報量を表す。強引だが画像にたとえるならサンプリングレートは画素数ビットレートは各画素が表示可能な色数に相当する。要はどちらもでかいほど精度が高い。


この16・44は一般的なCDと同じ方式なので、もう20年以上前から使われていることになる。まして、今は一般ユーザが購入可能なハンディタイプのディジタルレコーダでも24bit・96kHz(あるいは192kHz)で録音が可能なのだ。ミュージシャンの中でもかなりエンジニア寄りの両氏が「16・44が良い」と言っているのはちょっとした驚きだった。


理由はよく解らなかったが「音が良すぎるのは駄目」といった話ではなく、そこまでのデータ量に対して余裕を持って処理できるほどの機材がまだないみたいな事を言っていたような気がする。


音楽の話や昔話も面白いし、こういう技術面での意外な話も聞けるのでたまらない。


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