装置
今週のタモリ倶楽部は「車内放送装置のパイオニア 八幡電気産業株式会社 BEST10」というタイトルだった。同倶楽部は地域によって放送日時が異なるため、もしかしたらまだ放送されていない地域にお住まいの方もいらっしゃるかもしれない。楽しみに取っておきたいのであれば、本エントリは読み飛ばした方が良いだろう。実際のところ、どんな人であれ本エントリは読み飛ばした方が有益であることに違いはないのだが。
今週はうちの奥様が「あなた、お食事中にメモを取るのはおやめになってくださいませんこと?」と言うので、画面の写真を撮りながら視聴した。実際は画面を撮りながら見ることを提案してくれたのが奥様なのだが、サザエさんを意識して脚色してみた次第である。
今週のゲストは、乾貴美子・山田五郎・半田健人・南田裕介の4名で進行は乾。森田を入れると4人があっち側の人間で、こっち側は乾のみというアンバランスな構成となった。そのせいか冒頭の小ボケの段階で、各出演者が車内放送用のマイクを持って謎の言葉を喋っているという、鉄道に興味の無い者には訳が解らない展開。何故、この南田という男はでっかい受話器を持っているのだ?
今回はタイトルの通り、八幡電気産業株式会社にまつわる事柄をベストテン形式で紹介するというもの。同倶楽部においてありがちなことだが「今週のスポットライト」とか「もうすぐベストテン」的な余裕は全くなく、律儀に10位から1位までが紹介される。この辺りの余裕の無さがこの番組の魅力となっていることに気付いている者は以外と少ないのではないだろうか?
ベストテンに入る前に、乾が社名の由来を訪ねる。「京都の八幡山から取った。創業者がエジソンを尊敬していて」と答えた時点で、一同が「ああ、電球の…」「あのフィラメントが…」「京都産のが一番良かったと…」と口を挟む。もちろん俺も画面に向かって同じようなことを話しかけていた。こんにちは老化。山田はクイズ番組のように我先にと答えていたくせに「ちょっと解りにくい由来でしたね」とまで言っていた。これだからクイズさんは。
ここから、番組に倣って俺も律儀にベストテンを紹介するが、鉄道関係には人並み外れて疎いので、間違ったことを書くかもしれない。間違いを見つけたら、甲高い声できいきいと文句を言ったり、犬の糞みたいな知識を披露すると良いだろう。
第10位:N700系車内放送装置完成で どこでもアナウンス!
今までは決まった場所でしかアナウンス出来なかったのが、PHSと連携させることによって、車内のどこからでもアナウンスしたり、乗務員同士で連絡を取ったりする事が出来るようになったらしい。よかったね。
第9位:空前の大ヒット! 国鉄103系車内放送装置
昭和39年に山手線に導入された車内放送装置。一同は、もうこれが一位で良いよと言っていた。大きな緑色の受話器と緑色の箱が送信側、天井に取り付ける白い箱形の装置が受信側のようだ。緑色の受話器を固定する台が、びよんびよんしていて良かった。ラッシュアワーに人を車両に詰め込むバイトをしていたと森田。
第8位:今よみがえる! オルゴールの調べ
終点につくときによく聞こえてくる鉄道唱歌みたいなオルゴールぽいメロディが出てくる装置。なんと、実際にオルゴールでならしてそれを拾って流しているそうだ。確かにテープだったらすぐにへろへろになりそうだ。オルゴールなのでゼンマイをまくためのつまみがある。
すでに大半の人は飽きていると思うが、この先もこんな感じの話が続く。何せ画面には箱ばかりが出てくるのだ。これは、箱物行政に対するテレビ朝日の批判かもしれない。また適当な事を言った。
第7位:ハネ調整の鬼・松野さん 調整総数1万個達成!
個人的にはこれが一番面白かった。マイクの横のボタンについている羽根バネを調整する名人が出てきて、実際の調整の様子を披露してくれた。ボタンの裏にある二枚のバネを調整して、一回のプッシュで先にアンプのスイッチが入り、遅れてマイクのスイッチが入るようにするのだ。これは、アンプがオンになったときのノイズをマイクが拾わないようにするため。これぞ「ザ・日本人」みたいな細やかさだ。ただし、逆に「出だしが解りやすいようにノイズが乗るようにして欲しい」という依頼もあるらしい。関西系の鉄道会社だそうだ。
第6位:社歌は無いけど『各部の歌』があった!
創業者が作詞した「各部の歌」の歌詞が紹介され、ラジカセで歌が流れた。ちょっと長いが歌詞を掲載してみよう。
一
押して押して 押しまくり
開拓精神 身をなげる
アフターサービス つらいけど
何んで負けて なるものか
八幡電気の 営業部
二
書いて書いて 書きまくり
技術開発 身をなげる
パテント取れと 懸命に
他社にないもの 考える
八幡電気の 設計部
五
叩いて叩いて まだ叩き
特急突貫 身をなげる
はなれ小島に いるけれど
敢闘精神 負けやせぬ
八幡電気の 板金部
六
データーデーター 又データー
残業徹夜 身をなげる
立合検査に 気を配り
一品たりとも 見のがさぬ
八幡電気の 検査部
七
考え考え 考えぬいて
中小企業に 身をなげる
経理総務も 足並み揃え
管理業務も 万全に
八幡電気の 重役陣
現代の労働事情にはそぐわない部分が多々あれど、高度成長期の企業の姿が良く解る歌詞だと思う。一貫して歌われているのは「身をなげる」精神だ。今ならもう少しマイルドに「それいけ シャチくん」*1みたいなタイトルになるのではないだろうか。
あと、三、四番の歌詞が省略されていた。多分、のりピーのことが歌われていたのだろう。
第5位:幻の社内報『まくらぎ』発見!
4号で廃止となったガリ版刷りぽい社内報が紹介された。何故かボーリングのスコアの付け方が解説されている。社内ボーリング大会が盛んに行われていたのかもしれない。当時は自動スコアのレーンが少なかったのだろう。この記事を書いたのはさっきの松野さんだった。
すぐに廃刊になった理由を訊かれた松野さんの表情が曇り、「いろいろあったんでしょう」と答えたシーンは今回のハイライトだったかもしれない。
余談だが、俺は十数年前、ボーリングのスコア&フロアシステムのアプリケーション開発に関わったことがある。そのため、ボーリングは数回しかやったことがないのにスコアをつけることが出来る。夜中にボーリング場を借りてテストした際には「はーい、次ターキーのテストしまーす」と言うのが定番ジョークだった。
第4位:営業部主任 前田さん Nゲージ3000両突破!
とにかく、さっきからエクスクラメーションマークばかり出てくる!少しは冷静になって欲しい!
なんか変な人(前田さん)が出てきて、Nゲージという鉄道の模型を見せびらかしていた。値段を聞く乾、高いのは4万くらいと前田さん、驚く乾、「女はすぐ値段を訊く」と山田、半田がにやり。
第3位:踏んだり鳴ったり!電子警報装置
足下のペダルを踏むと大音量で警報音が鳴る装置が紹介された。無骨なぶおーっという音と、少しメロディアスな音の2種類の警報音を聞いたところで、唐突に向谷実が登場。向谷が作った構想10ヶ月の新しい警報音が披露された。
大方の予想どおり、感想を言いにくい普通の音だった。あと、向谷の外見については、かつてのカシオペアファンとしては触れたくない。
第2位:八幡の"ROOKIES" 草野球大会で準優勝!
ここは本当に書くことがない。一度外に出て、草野球チームが登場し、どうでもいい大会のどうでも良い順位について説明がある。
唯一面白かったのは、会社から誰か応援に来た?という森田の問いに対して、3人来ましたと写真が出された場面。写真には、社長とその両隣のお伴が写っていた。
第1位:革命児誕生! オールデジタル車内放送装置
また箱物。今までアナログだった装置一式がディジタル化されたそうだ。俺のようなディジタルの世界で生きてきた人間には、正直言って、ディジタルの車内放送装置なんてかなり危なげな気がするのだが、60年間*2車内放送装置を作ってきたメーカーが世に送り出すのだから大丈夫なのだろう。
ディジタル化したことによって何が変わったか?というと…
1.喋ってから、放送が流れるまでにちょっとディレイがある。
2.配線が少ない。
の2点が揚げられるそうだ。揚げてどうする。
もちろん、出演者一同はディジタル化に対する興味は全く無いようだった。これは地デジ推進運動に対してテレビ朝日が投じた一石かもしれないが、視聴者には届きにくいメッセージだったと思う。
今週のまとめ
- タモリ倶楽部は森田が中途半端に興味がある話題の方が面白いような気がする。今回のように完全に乗り気な話題の場合は、引き留め役がもう一人くらい欲しかった。乾だけではバランス的に弱いのだ。
- 半田健人はあっち側の人でありつつも、引き留め役を担えた筈なのに、終始あっち側の人間としてしか機能していなかった、残念。
- 所々で、出演者が車内放送の真似をするのだが、南田が突出して気持ち悪い。乾が「怖い」と震えていたのが印象的だった。この南田と営業部の前田さんが、あっち側ランキングの同率1位、3位は向谷実だろう。
- 名古屋県でも放送が再開されたため、今週はをかべさんの「☆今週の空耳アワー(但しうろ覚え)☆」が更新されている。空耳アワーについては、そちらを見ることを強くお勧めする次第である。そして「あれは耳かきですよ」とそっと教えてあげて欲しい。
- 今週の「今週のサザエさん」は、ばなな居酒屋問題に鋭くメスを入れているんじゃないかなって思うが、俺の読み違いかもしれない。
- とは言え、具体的にどういう問題なのか知らないのよね、俺。