M-1 2007あれこれ

ぽつぽつと思いついたことを書くよ。

予想と実際と次の予想

11日に書いた俺の予想は2つあった「笑い飯はこける」「敗者復活で麒麟が優勝」だ。特に2つめは大穴狙いだったが、それを上回る予想外の結果となった。余計な操作をしない方が面白いし、政治的にも丸く収まるという島田松本ラインの恐ろしい計算が結果的にとんでもないポイントに着地したように見える。オリンピックの陸上男子100mで優勝したからと言って100m最速の男であることは保証されないが、その場で負けた他の全員から「100m最速の男」の可能性奪い取る資格を持つのと同様に、優勝したコンビはその年最も面白い漫才師である資格を他の8組から奪い取ることができるのがM-1という番組である、と言っても不思議じゃない状況を作り出したが故に、時々こういう面白い事が起こるんだと思う。主催者の意志はともかく場の空気という物はどうしても、大きく針が振れた後は反対側に針を持って行こうとするので、来年は本命が真ん中を通って優勝するんじゃないかと思う。

コント色

コントっぽい漫才の歴史は古く、例えばやすしきよしだって漫才にコントの味付けを巧く織り交ぜていた。M-1では、2〜3年前からコント色の濃い出場者が増えてきているように思われる。もしかしたらコント色強めの方が会場の雰囲気と相性が良いのかもしれない。おそらく、セットや小道具を使ってはいけないという当たり前のルールを除けば「ここからは漫才じゃなくてコントですよ」という明確な基準は定められていないのではないかと思う。ただし、ぼんやりとした線は2004年のアンタッチャブルあたりに引かれているような気がする。ここを踏み越えたところで、ペナルティは無いにしても審査員が「面白いが漫才ではない」という理由で点数を低くするかもしれない。多分、次のブレイクスルーはこのラインをどう踏み越えるか、逆にコント色を思いっきり排除して漫才側に引き戻すかという戦術がポイントとなると予想する。

マチュア

去年のアマチュアは何故決勝に出られたのか全く解らなかった。M-1に限らず、あんな面白くない漫才を見たのは生まれて初めてだったからだ。クルミミルクよりもパドレよりもつまらかった。あんな死ぬほどつまらない漫才を見せられなかっただけでも今年は見た甲斐があった。政治的な意図が働いてないとしたら、おそらく、準決勝までは面白かったのだろう。政治的な意図というのが存在するとしたら、それはもちろんエントリー数を増やすためだ。1000組が4000組に増えたところで上位100組のレベルは変わらないのだが、見た目上の賞の重みは全然違う。個人的には陰謀論とか裏の意図というのは子供っぽくて大嫌いなので、昨年の出場は不幸な事故だったと思いたい。

ポイズン

POIZON GIRL BANDは決勝では全く受けず、2年連続の最下位(過去に千鳥も経験)だったがそこまで酷くなかったと思う。審査員に受け入れられにくいとか、西に嫌われそうな東ぽさを持っているといった不利な要素は確かにある。準決勝で受ける雰囲気と何か違いがあるのだろう。話は逸れるが西に嫌われそうな東ぽさを持っているのは、おぎやはぎ東京ダイナマイトで、逆は 品川庄司さまぁ〜ず だと思う。決勝の前の番組を見て、島田紳助が「どうせお前たちはまたすべる」といじりだしたのが面白かった。悲壮感が漂うことを嫌ったのだろう。慰めたり、今年は見返してやれよとか言うと逆効果だ。

サンドウィッチマン

もちろん、来年はいまよりずっと売れると思うが、爆発的な人気にはならないと思う。理由は幾つかある。まず、ネタ系の番組が減っている事。バラエティにそれほど強いようには見えないので活躍の場が広がりにくいだろう。有名な芸人とのつながりが薄いんじゃないだろうか。また、あのしゃべり方を怖いと感じる人がそこそこ居るんじゃないかという点も心配だ。あと、エンタが威張るんじゃないかというのも心配だ。

トータルテンボスキングコング

トータルテンボスは昔は苦手で(というか結構嫌っていた)避けていたのだが、見慣れたのか雰囲気が変わったのか、ここ2年くらいは苦手じゃなくなった。やっと面白くなってきたと思ったら、10年目を迎えてしまったのが残念だ。キングコングは相変わらず苦手だ。今年は特に気合いが入りすぎていたのか、取るんだという気持ちばかりが出てギラギラしすぎていたような気がする。目の前に客が居るように見えなかった。

笑い飯

面白くなかった。「どんどん継ぎ足していって1ターンが長くなる」タイプのネタは最も合わないスタイルだと思う。周囲が最初に出たときの衝撃を超える物を求めるのに対して、応えようとし過ぎて失敗しているように見える。たまに巧く行くと2005年のマリリン・モンローみたいな飛び抜けたのが出てくるけど、大抵はあれれって思ってる間に終わってしまう。最初のスタイルの焼き直しで行っても受けないと思っているのか、実際に受けないのか、あえて挑戦しているのかは解らないが、こうやって毎年期待されつつもそれにあまり応えないというパターンがすっかり定着しつつある。こうなったら、優勝しないまま毎年決勝には残り続けて欲しい。

上沼恵美子

来年もぜひ。