ミステリとルール

(先に言っておくけど、このエントリは投げっぱなしだよ)

この方がどういう意図で紹介したかは伺い知ることができないのだが、『「ルール」がある』という言い方がどうしても気になる。*1
俺的には、

  • かつて、このようなルールがあった。

でもまだ不満で、

  • かつて、このようなルールを提唱した人が居た。

くらいじゃないと、とても認めがたい。

ヴァン・ダインのミステリは(前半5作に限れば)大好きな古典だが、ヴァン・ダインの二十則を「ルール」と呼ぶのは頂けない。ルールを破ることは作品の質を否定する訳ではないが、少なくともルールを破った物をミステリと呼ぶのは間違っている。そうでなければ「ルール」を名乗る資格ないのだ*2。そんなものは、よい子のお約束だ。ヴァン・ダインの二十則をルールと呼ぶことによって、はみ出てしまうものをミステリと呼ばないのはあまりに惜しい。

また「現代のミステリは、いわゆるミステリとはもう別の物だ」という考えも良く解るのだが、それはそれで負けのような気がする。

だったら何か、古典にも現代にも通じるシンプルな「ルール」と呼べる物はないのだろうか?これが情けない事にまるで思いつかない。

無難な範囲で無理に言うとしたらこうなる。

    1. (実際に起きたかはともかく)事件のようなものが起きたと認識する人が登場して、解決を試みようとしなければならない、もしくは解決を試みるふりをしなければならない。

これなら、例外はないような気がするのだが、逆に言えばミステリ以外にもかなり多くの小説が、図らずもこのルールを守ってしまっているし、それ以前に死ぬほど退屈なルールだ。
誰かスマートでかつ古典にも現代にも通用するルールを提唱してくれないだろうか。

*1:これを「タイトルによる釣り」とか言って喜んでるガキにはひと言「失せろ」と伝えたい。

*2:解ってるとは思うけど、ルールを守りましょうって話じゃなくて、ルールを決めるのは難しいって話だよ。