原点に返って欲しくない

ウサギの乱 (講談社ノベルス) 霞流一
当たり前過ぎて申し訳御座いませんが、好みと言う物は人それぞれで御座いまして、本作が面白いと言う人が沢山居ても全然不思議ではないと思いますし、まして其の人に対して難癖を付けるつもりは全く無いと云う事を最初にお断りしておきます。
此の方の作品を読んだのは初めてですが、本作は私にとってはハズレでした。事件は面白く、探偵役にも其れなりの個性が有るのですが、登場人物の台詞が薄っぺら過ぎます。二昔前のサスペンスドラマのような台詞と人物像にしか見えませんでした。もしかしたら意図的にペラペラにしてるのかもしれませんが、だとしたら悪趣味な話です。
背表紙や紹介文には「本格」の文字が見られますが、解決部分も正直言って感心しませんでした。どちらかというと「新本格」初期に出て来て、其の後の15年で淘汰された部分に似ている様な気がします。
酷い事を書きましたが、新刊で買って最後まで読みました。買ったきり読んでない本が読んだ本の2倍はある私が、最後まで読んだと云う点では優秀な作品だと思います。最初の3ページくらいをパラパラと読んで抵抗無い人にはお薦め出来ます。

ウサギの乱 (講談社ノベルス)

ウサギの乱 (講談社ノベルス)