トラックバックスパム

トラックバックスパムの問題は、愉快犯を憎むあまりそいつと変わらないくらいの負担をかける人が現れるなど、ネットで見飽きたぐだぐだ状態に突入している。
今回、成り行きを見てて面白かったのは「別に良いじゃない。消せば」という意見が意外と多かったこと。勘違いかもしれないが、アクセス数の多い日記のオーナーにその傾向が見られるような気がする。これはアクセス数の多い日記の人はもうその手のゴミ掃除が日常になってるからじゃないかと勝手に推測している。
私がトラックバックスパマーに対して腹が立つのは、はてなダイアリー設計者の設計意図というかサービス精神を悪用しているという点にある。
一般的にトラックバックを送るときには*1

  1. Aさんが自分のサイトのコンテンツにBさんのサイトの記事に関するコメントを書き、その記事にリンクを張る(ここまではトラックバックに関係なし)。
  2. そのことをBさんのサイトに通知するための専用のURLに「トラックバックを送る」という操作を行う。

という2ステップの操作を行う。場合によっては、2.を安易に行えないよう、送信の際には、1.でリンクが張られていることがチェックされるようになってシステムもある。
甘いと言われるのを承知で、もう少し続けさせて貰う。一方はてなダイアリーにおいては、まず、URLを書かずにリンクが張れるようになっていて、なおかつその際にトラックバックの送信も行われるというもの凄く簡単な仕組みになっている。この仕様は便利で解りやすく、何より、はてなダイアリーユーザ間の交流を簡単に行うことができるというメリットが嬉しい。
そして、トラックバックが自動で送られるという動作は「日記のコンテンツがそのままリンクとなる」という仕様に裏打ちされていると私は考える。つまり「AさんはBさんのidを書いてリンクを張っているのだから、AさんはBさんの日記に言及していると判定して良いだろう」という考えで、最初に一般的な例として挙げた1.の操作を行うだけで*2、2.の操作を必要としないような仕様となっているのではないかと思うのだ。
はてなダイアリーには、外部にトラックバックを送ることができるように、トラックバック用のURLを入力して送信を行うという手段も用意されている。これだけで留まらずに、せめてはてなダイアリーユーザ同士の交流くらいはもっと簡単に活発に行えるようにしようというサービス精神を私はこの仕様から感じる。
もちろん、今回のトラックバックスパマーのように、ひたすらたくさんの id:○○○ を列挙しただけの日記をアップして*3、同時にたくさんのトラックバックを送る子が現れるという可能性についても設計者は考えたであろう。それでも敢えてこの便利な方式を採用した事を私は評価したい。そして、今までそのようなトラックバックスパマーが表立って現れなかったことも素晴らしいことだと思う。
だからこそ、トラックバックスパマーに腹が立つのだ。
小さい子供やそれに準ずる知性が未発達な人は「このような事ができるような仕組みになっていることが悪い」という考え方をするかもしれない。それがいかに環境(この場合はシステム)に負荷をかけ、誰一人得をしないで全員が損をする間抜けな考え方なのかをどうやって教えることができるか*4?それが運営者とユーザ達に課せられた最大の課題なのではないかと思う。

*1:一般的にと書いたが、movabletypeでの操作しか知らないので、もしかしたらもっとバリエーションがあるかもしれない。

*2:しかも、リンクタグ無しで。

*3:そして、すぐ消す。

*4:愉快犯なのだから、その辺は解って行動しているという意見もあるかと思うが、それは愉快犯への過大評価に起因する誤解だ。愉快犯に高い知能があるのは作り話の中だけだろう。愉快犯というのは解ったふりをすることができるだけで、実際は理解することができないのだ。その寂しさが愉快犯につまらない行動を起こさせてしまう原動力に他ならない。