暗号技術入門

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797322977/249-8169253-8073934

最近、仕事絡みで暗号技術の基礎を勉強しなおしています。暗号技術には、「平文を暗号化したり、暗号を複号するといった理論的背景としての数学的視点」と、「それらの方法をどう組み合わせるのが安全か、どういう危険があってどう回避するか、といった情報工学的視点」の両方の側面を持っていて、私のように中途半端にどちらにも首を突っ込んで来た者には、とても面白いジャンルです。

理論的背景を抜きにしても「ここでこういう危険がある」「それを回避するためにこういう技術がある」「その技術でもこういう危険は回避できない」といったストーリーを追うことは、パズルとしての楽しみがあるだけでなく、クライムノベル的な面白さがあります*1

本書は、理論的背景については「こういうものである」という説明と文献の紹介にとどめ、具体的な事例を段階的に説明することに注力しています。入門書として、かなり良くできているのではないでしょうか。

*1:だからといって、ミステリファンにお勧めできるかと訊かれると困りますが。