算数と数学の間くらいの問題

プープーテレビで、青学生*1君が取り組んでいた問題を文章だけで説明してみたい。


Q:灰色の部分の面積を求めよ


答えを求める前にちょっと寄り道をして、大まかな予想を立ててみよう。ターゲットとなっている部分は正方形に近く、各辺の長さは弧の長さの1/3、つまり円周の1/12に近い。円周は 2 * 3.14 * a なので、辺の長さは a * 3.14 / 6 となる。これを2乗すると面積は、正方形のおよそ 0.274倍となる。実際は正方形ではなく膨らんでいるので、もう少し大きな答えになる事が予想される。*2


本題に戻る。この問題には、いくつかの解法ががあるが、ここでは比較的不細工な方法を選択してみた。エレガントな方法は競争相手が多いので隙間を狙ってみたのだ、他意は無い。具体的には「四つの交点を結んで出来る正方形」と「その周囲にある膨らみ×4」の面積を個別に求めて、その合計を出すという方法だ。


最初に各点の名称を決める。外側の正方形の頂点をABCDとする。A・B、B・C、C・D、D・Aはそれぞれ隣り合っている。また交点は辺ABに近い点がE、BCに近い点がF、CDに近い点がG、DAに近い点がHとする。



まず、中央の正方形だが、方針に従い不細工な正攻法で攻める。まず、円周上にある2つの交点F・Gとその2点を含む円周の中心Aからなる二等辺三角形の底辺を求める。二等辺三角形の等しい二辺AFとAGは外側の正方形の一辺の長さに等しい(F・Gは円周上の点なので)。また等しい二辺の中心角は30度となる。これは三角形ABGと三角形ADFが共に正三角形なので角BAGと角FADが60度であること、また角BADが90度であることから導かれる。よって、FGの中点をMとすると角FAMは15度となり、三角形FAMは直角三角形であることから、

FM = AF * sin(15)

となる。FGはFMの2倍であり、辺AFは正方形の一辺と同じ長さなので、FG = a * sin(15) *2、正方形EFGHの面積は、

(2a * sin(15))^2 = 4 * a^2 * sin(15)^2

となる(a^2 は a2のこと)。

ここでの証明は省略するが、sin(15)^2 = (1-cos(30))/2 なので(半角公式で検索すればすぐに解るよ)、正方形EFGHの面積は、

4 * a^2 * (1-sqrt(3)/2)/2 = (2 - sqrt(3)) * a^2

となる(sqrtは平方根。sqrt(3) は √3のこと。Googleで sqrt(3)を検索すると電卓が出てくるよ)。


次に膨らみの部分だが、これは扇形AFGの面積から三角形AFGを引けば良い。先程示したように扇形AFGの中心角は30度なので、面積は

pi * a^2 / 12

となる(piは円周率)。一方三角形AFGの面積は、辺AGを底辺とすると、角FAGが30度であることから高さはAGの半分となり、三角形AFGの面積は、

a * (a/2) / 2 = a^2 / 4

となる。よって、4つの膨らみ部分の合計面積は、

( (pi * a^2 / 12) - (a^2 / 4) ) * 4 = (pi/3 - 1) * a^2

となる。

先の正方形EFGHの面積とあわせると、灰色の部分の面積は

(2 - sqrt(3)) * a^2 + (pi/3 - 1) * a^2
= (1 + pi/3 - sqrt(3)) * a^2

となる。


1+pi/3-sqrt(3) = 0.315… なので、最初に立てた予想(0.274…)と比べるとそれほど遠くないけど、あまり近く無い事が解った*3。そういうこともあるよ。



蛇足


不細工じゃない方の解法も書いておこう。方針は、

正方形 - (1/12の扇形 - (1/6の扇形 - 正三角形)) * 4

だ。これはさすがに図がないときつい。


これが (1/12の扇形 - (1/6の扇形 - 正三角形))



そしてこれが、正方形 - (1/12の扇形 - (1/6の扇形 - 正三角形)) * 4


正方形の面積は a^2、正三角形の面積は a^2 * sqrt(3) / 4 なので、

a^2 - (pi * a^2 / 12 - (pi * a^2 / 6 - a^2 * sqrt(3) / 4)) * 4
= (1 - pi / 3 + 2 * pi / 3 - sqrt(3)) * a^2
= (1 + pi/3 - sqrt(3)) * a^2

となる。先ほどの不細工な解法と同じ結果となった。

*1:今年の3/17にFM northwaveに出演したときにDJボビーが「ブルーマウンテン大学だよね」って言ったら肯定していた。

*2:この辺は俺のような凡庸なエンジニアがよくやる寄り道だ。無駄じゃないと思ってやっておくが、大抵無駄に終わる。

*3:ほら、無駄に終わった。