包丁

今週のタモリ倶楽部は「包丁大好き作っちゃお」みたいなタイトルだった。同倶楽部は地域によって放送日時が異なるため、もしかしたらまだ放送されていない地域にお住まいの方もいらっしゃるかもしれない。楽しみに取っておきたいのであれば、本エントリは読み飛ばした方が良いだろう。実際のところ、どんな人であれ本エントリは読み飛ばした方が有益であることに違いはないのだが。


さて、今回は冒頭よりパンツ姿の女性たち*1が、軽快なテナーサックスの曲に合わせて臀部を左右に振るというパフォーマンスが披露された。テレビジョンの暴走には寛容な俺だが、このパフォーマンスに対しては疑念を抱かざるを得ない。とは言え、欽ちゃんの仮装大賞においてアシスタントがバニーさんであることの意味も解らないし、大都会IIIにおいて渡哲也と石原裕次郎の行きつけの店でドラマの最中にも関わらず牧村美枝子がみちづれを歌う意味だって解らない。それがテレビなのだろう。


今回のゲストは升毅・ビビる大木・堀部圭亮の3名だが、進行役は特に決まっていなかったようだ。関係ないが、俺は迂闊にも堀部圭亮(竜泉)は清水圭と組んでいたと思っていた。何かのコンビの片割れという記憶がうっすらとあったのだが間違って覚えていたらしい、コンビ名も圭・修だし。さっきWikipediaで調べたら、堀部は勝俣州和とのK2というコンビを組んでいたという事が解った。そもそも清水圭堀部圭亮だったら圭・圭じゃないか。こっちもK2と言えなくもないのが話をややこしくしている。更にややこしいことに、勝俣の名前に州の字が入っている。明日には結局誰と誰がコンビでなんてコンビ名だったか忘れている自信がある。


余計なことに行数を使ってしまった。今回は「タモリ倶楽部では料理企画が多いんだから、専用の包丁を作ればいいんじゃないの」みたいな感じで始まった。メモを取らずに記憶だけを頼りに書いているので情報が曖昧だが、千葉のどこかにある百数十年続いた刃物店+工房みたいなところに来て、包丁を最初から作ってみようって寸法だったと思う。店主は5代目くらいの若い人で、福井か福島か福建省か、とにかく刃物の本場で修行を積んだ人らしい。坊主に眼鏡だが物腰は丁寧な人だ。


包丁作りは、例によってチームに分かれて対抗する方式がとられた。森田竜泉、升毅大木という分け方。前もって言って置くが、今回は塩ビスピーカーの回における府川のようなラクルは起きないのでご安心頂きたい。


まず、包丁の材料である鋼を軟鉄で挟んだ金属片が紹介される。個人的にはこの部分の説明がもっと欲しかった。誰がどこでどうやって作るのか、包丁の出来にどう影響するのか、とても興味深い、そしてもっと知りたい!…という俺の心の叫びを無視して番組は進行する。次に、この金属片を真っ赤に焼けたコークスオレンジ色になるまで熱する。俺は札幌っ子なので学校のストーブでコークスを使う事に慣れているが、全国の人達はコークスに対してどのくらい馴染みがあるのだろうと思った。ていうか今の北海道の小学生にだってあまり馴染みがないかもしれない。「石炭持ってきて」「石炭じゃないよ、コークスだよ」みたいなやりとりは今もあるのだろうか。


意図的に話を逸らしてみた(俺がテクニシャンと呼ばれる所以である)。話を包丁に戻そう。オレンジ色に光る金属片を専用の機械でガシャンガシャンと叩いて伸ばすというのが、最初の工程だ。森田が器用だとか大木が下手だとかいったお約束の展開。次に、大型の回転砥石(?)で表面を荒く削る。森田が細部に凝りはじめて云々というお約束の展開はここでも崩れない。


次にサンダーで形を整える。火花が散ってきれいだ。作業を黙々と続ける森田に大木が「田森さん、微調整好きですね」と茶々を入れる。馬鹿かこいつは。微調整ほど楽しいことがあるか?人類が費やしてきた労力の8割は微調整にあてられて来たのだ。微調整をなめんなよ眼鏡。といった俺の罵倒とは関係なく、そして無粋な大木の願いに負けることなく、出演者たちは包丁の形を整える。不思議と素人が作っていても包丁らしくなって行くものだ。


ここで、一端中断して様々な刃物が紹介される。大阪のなんとかという親子か兄弟が作った柳刃包丁だとか、枝切り挟み、おろし金、毛抜きなど。それぞれ実際に使ってみて切れ味や使い心地を確かめていた。鮪を切るときの大木の危なっかしさが目立つ。「良い包丁は誰が使っても良い」という訳ではなく、使い慣れない人が切ると「切れ味は良いのに、使う姿は今ひとつだし、出来上がりも良くない」という当たり前の結果が提示される。これは、テレビ朝日解散総選挙を睨んで世間に…みたいなことを書こうと思ったが、持ち前の知性が邪魔してそこまで書くには至らなかった。


次に、もう一度熱して水につける焼き入れ工程(ここは、プロがやった)を経て、最後に研ぎへと移行する。研ぎ工程では、森田側に大きくて使い易い砥石を、升毅には狭い砥石を渡すという小粋な演出で、芸能界における厳しい上下関係を視聴者に見せつけた。これはテレビ朝日解散総選挙を…。


最後に、両者がトマトとかキャベツを切ってエンディング。さすがに切れ味は鋭い。ここで升毅と大木はテレビショッピングごっこに興じていた。大木が慣れない手つきでトマトを鮮やかに切って「ボクにも切れた!」と叫ぶところが白眉。申し訳ない、白眉という言葉を使ってみたかっただけで、それほど面白くなかった。最後に、対決だったことを思い出したのか、ここで判定をということになり「根本の軟鉄が薄くなっている分、堅いものが切りにくくなる」という理由で、升毅チームの負けとなったが、ここで勝敗を気にする視聴者もいないだろう。


今週のまとめ

  • 今週は単調にならずにいろいろな工程が進行するので、まとめ甲斐があった。
  • もちろんこれは倶楽部関係者が俺に配慮してくれたのだろう。ちょっと俺へのサービスが露骨すぎて興ざめしたが、好意は大変ありがたく受けとらせて頂く。
  • 俺の事は気にしないで、自分たちの倶楽部を演じて欲しい。柄にもなく頭の悪いスポーツ選手のような事を言ってみた。
  • 店主は随所で「ここは上下から叩いてあげて…」みたいな言い方をしていた。料理研究家のようだ。彼らが「キュウリを半分に切ってあげて…」的な表現をすることを最初に指摘したのはナンシー関だと思うのだがどうだろう?
  • 例によって空耳アワーについては、をかべさんの「☆今週の空耳アワー(但しうろ覚え)☆」を…と思ったら、今回は名古屋県は倶楽部の放送が休みらしい。名古屋タワーをギャオスに折られたのだろう。今週の土曜にこの回をやるのか、一回飛ばすのか、意表を付いて二回飛ばすのか今から楽しみだ。
  • 今週の「今週のサザエさん」はまだ読んでないがきっと面白いだろう。俺もこれから読むのでみんなも読むんだぞ。そして泣けばいいんだ。(追記)今回も面白かった。でも泣かなかった。
  • 追記:そういえば、最初の挨拶「毎度お馴染み流浪の番組」を噛んでたのを思いだした。何万回も言ってる筈なのに。

I Wanna Hold Your Hand [VHS]

I Wanna Hold Your Hand [VHS]

*1:臀部しか写されていないので、女性であるという保証はない。