しきい
「敷居が高い」を「難しい・取っつきにくい・ハードルが高い」の意味で誤用されていることが多いという話は何度か書きました。では「閾(しきい)値」は間違いじゃないんだろうかと調べてみたところ、いくつか面白いことが解りました。*1
- 元々は生理学や心理学で用いられる言葉だったようだ。
- 「閾値」は正しくは「いきち」と読む。「しきいち」と読ませたい場合は「しきい値」と表記する。
- 「閾(いき・しきみ)」は「敷居」の古語。意味が同じなので「閾」も「しきい」と読まれるようになって、「閾値」が「しきいち」と読まれるようになったのかもしれない。
- 「敷居値」という表記する例も少なくないが、これが正しいのかどうかは解らなかった。
- 意味は「ある系に注目する反応をおこさせるとき必要な作用の大きさ・強度の最小値」とのこと。つまり、状態の変化を伴うために必要な値のことのようだ。限界値とも言う。
- 「この値までは我慢してるが、越えたとたんに爆発する」みたいなものか。
- なので本来の意味からすると、(一般によく使われている)「所属を区別するための値 = 境界値と同じ意味」とは若干ニュアンスが異なるような気がする。
- 英語では threshold 。アナログシンセとかギターのエフェクタではおなじみの言葉。
強引ですが、誤まった意味での「敷居が高い」は「しきい値が高い」と解釈すればまあ正しくない訳でもないというところでしょうか。