突飛でオーソドックス

極限推理コロシアム (講談社ノベルス) 矢野 龍王
ミステリらしいミステリです。癖のない読みやすい文章で、作者の独りよがりな自己主張もなく、ストーリーの進行に徹しているところに好感を持ちました。読んだ人の評判は悪いですが、それほど悪い出来ではないと思います。発売と同時にドラマ化ってところが反感を買ったのかもしれません。
異常で閉鎖的な状況下であることを差し引いても、参加者の考えは穴だらけだし、駆け引きも下手過ぎですが、設定の突飛さが掴みとなってそのままスピーディに展開して行くので、あまり気にしないで読んでしまいました。
欲を言えば、登場人物にもう少し特徴が欲しかったと思います*1。あと、ドラマ化の都合かもしれませんが、内容のわりにページ数が少ないという点も気になりました。この内容ならもっと長くても大丈夫でしょう。意味無く厚いのは嫌ですが、この話なら今の1.5倍あっても読めるしその方が面白い筈です。

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)

極限推理コロシアム (講談社ノベルス)

*1:多分意図的に薄めていたのだと思いますけど、もうちょっと濃くても良かったのではないかと思います。