アリ

勤め先ではちょっとした事情があってアリを飼っている。ちょっとした事情というと訳アリみたいだけど要はデモ用のコンテンツを作るのによく使うってだけだ。飼っているのは2種類で私が勝手に「文化」と「黒夜馬」と名付けている。特に理由は無い。元はそれぞれ何匹かいたので種類の名前になってたのだが、今は一匹ずつなので種類の名前か個体の名前かどうでも良くなっている。

先日、ビルの横の空き地の隅に巣を作り易そうな場所を見つけたので、たまには屋外で巣を作らせてみようという事になった。文化は非力なので粒の小さい砂地でないと巣を作らないのだ。遠くに逃げ出さないよう水槽を逆さにして、その中に二匹を放した。

黒夜馬は黙々と巣を掘っていた。こちらの思い込みかもしれないが、簡単に掘れるので物足りないように見える。一方、文化はちょろちょろと動き回りながら変な巣を掘り始めた、縦穴ではなく露天掘りのようだ。しばらく見てると直径5cmほどの浅い穴が掘られた。

私とウリさん(元ガゾさん)はこの穴を文化住宅と名付けた。しばらくすると文化は文化住宅に周りのものを少しずつ運び始めた。「あれは文化包丁ですね」ガラスの小さな破片だ。「これは文化干しかも」干からびた葉っぱなのだが。

そのうち、文化は隣の黒夜馬の巣の周りをうろつき始めた。引越しそばでも振舞うのだろうか?黒夜馬も気になるのか、やがて出てきた。と思ったら文化住宅の中に小さな穴を掘り始めた。「きっと文化鍋ですよ」と話していたところにKBさんがやってきた。「KBさん文化鍋ですよ文化鍋」と説明。アリたちは穴の縁を触覚でもそもそと触っていた。「なるほど、鍋を囲んでいるように見えますね」KBさんも楽しそうだ。

cf:KB's hard-boiled (or not) days (2004.05.14)